素人に書かせるブログ小説

SSや小説を載せていきます。時々、完成したデジ絵ものっけていきたいです。コメントよろしくっ!

異世界ならここを曲がってすぐですよ。 九話

「はぁっ、はぁっ、っつ!!」

 

俺は取り合えず無限に広がっていそうなほど馬鹿でかい森を疾走しているところだ。

周りでは所々ドンパチ聞こえてきてはいるがスルーだ。

 

『真城優紀 失格 今すぐ森を出なさい』

負けはあくまでも学校側が判断するらしい。

(なんか、放送するのやめてほしいんですけど…負けたら恥ずかしいし)

息を切らして走る中、先ほどのミチルの憎悪に満ちた表情に思いをはせる。

 

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俺にはあまり、魔法適正が無かった。

日本人の魔法適正値など、優に下回っていた上、魔法適正の高いミチルなどと比べてしまえば『天と地』ほどの差があった。

それでも、魔力総量だけは、ミチルに匹敵するにレベルあったのが救いだったのかもしれない。

 

俺は今は亡き、ミチルの父親だった人に鍛えられた。

銃火器の扱い方を学び、死ぬほど苦しい魔力枯渇を繰り返して魔力総量を成長させていった。

それはミチルも同様であり、ミチルは一部でも「神童」と冗談交じりではあったがそう呼ばれるほどの才能の持ち主だった。

 

ーーーある日、ミチルの父親は魔物に殺された。

凄く強い魔物だった。

とにかく凶暴で、その時ちょうど異世界で修行をつんでいたミチルと俺は遭遇してしまった。

 

大人は皆一目散に逃げていった。

ただーーーミチルの父親だけは俺達を守るために勇敢にも、単独で立ち向かった。

弱いものだな…と心からそう思った。

ミチルの父親がたった一人で戦っているのに、俺達は足がすくんで動けない。

そんな中、ミチルの父親は突然現れた魔族の槍に串刺しやされた。

 

魔族はミチルの父親が確実に死んだことを確認すると、帰って行った。

それと同時に魔物達も消え去っていった。

だが、俺もミチルも動けない。

弱いのは俺達だけじゃなかった。

ーーー師匠もだ…。

俺はミチルの父親を指してそう思った。

不思議と強くあろうとは思わなかった。今までのように…師匠のように、強くあろうなどと思わなかった。

ただ、ただ…俺とミチルが生き残ってればいいやーーーそれ以上は望まない。

 

 

師匠の葬式。

ミチルも俺も、一滴たりとも涙をこぼしはしなかった。

次々と挨拶にくるしたり顔のオッサンたち…

「辛かったろう?

大丈夫かい?気をしっかり持つんだよ?」

「悲しいねぇ…。

でも、こんな辛い出来事を乗り越えて人間は成長していくんだ。

頑張るんだぞ?」

 

いい加減、飽き飽きしていた頃だった。

何時もなら、外で目一杯体を動かして強くなろうとしたのに。

 

家に帰ると、家に併設された道場の灯りがついていた。

俺の父親の道場だった。

だが、その道場の門を叩く者などいない。

 

「父さん。」

「………。」

「ただいま。」

「………。」

中に入ると、父親の背中が視界にうつる。

表情はみえない。

父親の右足は相変わらず、物々しい歪な義足でできていた。

「どうしたの?父さん」

「………。」

返事はなかった。

焦れったくなり、父親の顔を覗きこんだ。

父親は、静かに泣いていた。

「父…さん…?」

「………。」

「なんか…言えよ。」

「………。」

父親はなにもいわない。

表情にも変化がない。

実際、俺に気付いているかも怪しかった。

「………強くなることをあきらめるのか?」

俺はおもわず、目を剥く。

その声色はいつもの明るい父さんのそれとは真逆にあるものだった。

なにより、俺が強さを諦めたことを悟られたことが驚きだった。

 

「ああ…そうだよ。

師匠は強くなったところで、上には上がいる、だから簡単に死んじゃうんだぞ?っていいたかったんじゃないか?」

「………。」

「事実、師匠はアッという間に死んだからね。

反面教師ってやつだろ?あの人にはお世話になりましたーってね。はは…」

「………。」

「はは…ははは…あは、あはははははは!」

「…………。」

「おかしいなぁ…。師匠が死んだのに、ちっとも悲しくもないや…。」

「………そうか。

それは……

 

 

 

ーーー師匠も救われないな。

 

 

 

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「春一くん、ちょっと止まってもらおうか。」

俺は、声の聞こえた方を確認して、今までの思考を打ち切り戦闘モードへと切り替える。

「勝負だよ。」

「……蜂谷か。」

「そうだよ。

…って、なんか暗いね。

なにかあったの?」

「いや、まあ。

特になにも。」

「そう…じゃあ、

 

………いくよ!!」

 

◇◇◇

 

 

 

バトルロワイアルね…。」

ミチルはあまり気乗りしなかった。

仲のいいクラスメートととの戦闘はさけたかったのだ。

(さっき、お兄に変なとこ見せちゃったかな…今頃心配してるかも。)

ミチルは、バトルロワイアルの勝敗に関しては特に心配していなかった。

(私が本気出せば、きっと勝ってしまう。)

むしろ、ミチルにとって異常な力を見せつけて勝ってしまうのは今後の人間関係に影響を及ぼすのではないかと、忌避しているところだった。

 

(皆にチヤホヤされそうなあたりで、適当に負けとくか。)

ミチルはそうぼやく。

はぁ~と、長い溜め息を吐きながら森の奥へと消えていった。

 

◇◇◇

 

「ふっ………!!」

蜂谷が片手に握ったナイフを振り回す。

「くっ!…ふっ………!! っりゃ!!」

俺はすんでのところでよけているが、所々ナイフの傷跡がつけらていた。

「はるっ!いちっくん!

逃げるばっかりっ!で!!……いいのかなっ!!」

蜂谷は緩急をつけて、俺の足を引っかけてくる。

転倒する前に地面を蹴った俺は、そのまま着地する。

「随分とアクロバティックな戦い方だね…。

器械体操?でもやってたのかな?」

「……そんな感じだ。」

返答と同時に俺は、懐から魔法銃をぬく。

「ブーストッ!」

ブーストをかけてすぐさま、引き金を引く。

「くっ! 」

 

蜂谷は目にも留まらぬ速さの弾丸を感覚でつかんだタイミングで避ける。

「っぶな!!」

蜂谷の後ろにそびえ立つ木には拳ほどの穴があいていた。

「……なにが即死はしない程度の武器だよ…。

絶対死ぬよ…こんなん。」

生憎おれは、ミチルのように器用に両手に拳銃を持って…なんて事はできない。

だが、それなりにブーストの魔法は得意なのだ。

「大丈夫だ。蜂谷。

………殺しはしない。」

「まるで、お前なんかすぐ殺せるよ。なんて言い方するね。」

「実際……

 

その通り……っだろっ!!」

 

俺は、一気に発砲する。

流石にこれをすべて避けるのは難しい。

……だが、

 

「魔法障壁!!」

 

半透明な淡い赤色の魔法障壁と弾丸が拮抗するが、やはり弾丸は阻まれた。

 

 

 

 「なかなか、分厚いな…。」

「まあね、得意分野だし。」

そういって蜂谷はナイフを握る右手とは逆の、左手に魔法障壁をはる。

左手を前に突き出し、攻撃を妨げる盾を作り出した。

「ほう…。」

おもわず頷いてしまう。

(どうしよ…銃弾通らないよな…。)

「迷ってるの?

じゃあ、……こっちからいくよ?」

「……くっ!!」

蜂谷の振り下ろすナイフを魔法銃で受け止め、後ろ回し蹴りを繰り出す。

横からの攻撃をどう対応するかを確かめるためだった。

案の定、蜂谷は盾で受け止める。

「……ぐっ!

わかってたでしょ?盾に阻まれることぐら……!?」

蜂谷が余裕の表情で春一の顔を見た途端文字通り固まった。

「な!?」

春一の魔法銃の銃口が蜂谷の額に向けられてはいた。

ほぼゼロ距離。

よけるのは困難なのは目に見えていた。

これをよけるなら瞬間移動くらいのものだろう。

 

「これを…よけられるか?」

春一は煽るように言った。

「ちょっと厳しいかな…。

まいっ……」

蜂谷が諦めてまいったと口にしようとした瞬間、油断していた春一の背後に一線の太刀筋が迫る。

「うおっ!!」

ガキイィィィン!と春一の振り下ろす魔法銃と鋼の刃が衝突する。

結果、春一が押し負け数メートルほど吹き飛ばされる。

「ぐぅ!!……いってぇ。」

だが、春一に休む暇など与えてはくれなかった。

次々と繰り出される、無駄のない太刀筋。

春一は瞬間的に足に、ブーストを三重かけて退避する。

「ああ?誰だよ…。」

「誰でしょう…っ!!」

見上げた先には蜂谷がナイフを振り上げて跳んでいた。

「くっ!!」

苦し紛れに魔法銃を二発放ち、牽制して後退する。しかし、未だ鋼の刃の正体を捕捉できていない。

「どこだ…!!」

 

「後ろ…!!」

無機質で抑揚のない声が背中に響き、おもわず、身震いした。

女か。

「甘い…!」

魔法銃で刃を受け止め、今度は威力を殺すように後退し、引き金を再び引く。

後ろで待機していた、蜂谷の太股に一発の弾丸が貫通した。

 「いっっっ…………!!!!」

痛みでおもわず出てくる叫びをかみ殺し、冷静さを保とうとする蜂谷。

二撃目を入れようとしたところ、蜂谷の魔法障壁に阻まれ、やむなく後退する。

 

「ふう…大丈夫か?蜂谷。」

「……大丈夫なわけないでしょ…。

よく同時に二人も相手にできるね。

僕達、そこまで弱くないはずなんだけど…。

……いってぇ。」

「僕達…ね。

やっぱりそこの女とは協力してたのか。」

「そうだよ。……あ~、痛すぎて死にそう…。」

「大丈夫だ。死にゃあしない。…たぶん。」

「多分なんだ…。…それにしても僕はともかく、水城の剣までしのぐとはね…」

「……凌がれてない。」

ここでようやく女が口を開いた。

「ああ、彼女は水城。

穂村水城ね。剣が得意なんだ。…ものすごく。」

「へぇ、随分と美人さんですね。」

「………。」

あ、無視られた。

「水城を揺すろうとしてもそれくらいじゃちょっとね。」

「随分と余裕あるな。

傷浅かったか?」

「………まあ、一応銃弾が皮膚を貫通した瞬間に肉の間に魔法障壁作ってで防いだんだよ。」

ほら!と言いながら、蜂谷は傷口や指を突っ込む。

「いっ!……おらっ!!」

顔を歪めながらなにかを取り出した。

指に持っているのは銃弾。血で真っ赤にそまっていた。

 

「……グロッ。」

水城が表情一つ変えずにコメントする。

「グロいって……。

口が悪いな…。」

てかマジか。蜂谷のやつ…魔法障壁に関しては本当にスペシャリストだな…。

傷口の内部で、魔法式を構成って…。

超高等テク…。

「さて、水城はヒール使えないし僕は魔法障壁張りながらだとキツいし…。

続行不能かな…?」

だが、放送で蜂谷の失格は知らされない。

おそらく、まだ戦えると判断されているな。

流石に見落としはないだろう。

パートナーがいることを知っているのか?

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バトルロワイアルを始める前に注意しておくことがある。

この紋章をこれから、一人一つ配る。

この紋章は皮膚に貼り付けておけ。

場所は自由。

これは君達の身体の状態を把握するのに必要なものだ。

必ず貼れ。…以上。」

 

そう、教師は言っていた。

 

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「そろそろ、休憩も終わり。」

そう言って水城は俺との間合いを一瞬にして縮める。

「……くっ!?」

俺は次に水城が踏み込んで来そうな地点に弾丸を撃ち込む。

「…………!?」

それにたじろいだ水城の動きが止まる。

「前見ろ!前。」

そう声をかけると、足元にいっていた水城の視線が前に向く。

だが、そこに俺はいない。

「え…!?」

「お前は後回しだ。馬鹿。

蜂谷を潰す。」

「……いつの間に!」

「くっ!!」

蜂谷は動かない左足に鞭打って左手を突き出す。

「魔法障壁!!」

だが、俺は立ち止まらずそのまま、地面を蹴ってブーストで跳躍する。

蜂谷は目標が真上にいることを確認して、魔法障壁に変化を加える。

「なにも魔法障壁は壁以外にも使えないわけじゃない。

……こんな風に!」

「すげっ!」

 

なんとも新鮮な気持ちになりながらも、身をひるがえして飛んできた魔法障壁でできた槍をよける。

「油断…大敵!!」

いつの間にか真横に来ていた水城の斬撃にザックリ行かれながら蜂谷に銃口を向ける。

「蜂谷は先に帰ってろ!」

「くっ!!」

苦し紛れに蜂谷が四方八方に魔法障壁を展開し、自分を囲む。 

 

俺は、一瞬悩むーーーが決断した。

それが、あとあと面倒事を引き起こすトリガーになるとも知らずに。

 

「無駄ーーーーーーーだ!」

 

次の瞬間。おれのナイフは蜂谷の右太股に刺さっていた。

「ど…どうして……!!」

蜂谷は驚愕の表情を浮かべていた。

俺は、瞬間移動で蜂谷の展開した障壁の内部に侵入し、蜂谷の太ももにナイフを差した状態にとんでいたのだ。

「いつの間に…さっきまで私の真横にいたはず。」

パリッと音を立てて、蜂谷の障壁が崩れる。

蜂谷が障壁を保てなくなってたのだ。

「って、…何故ナイフをもっているの?

…あなたには銃があるはず。

…不正?」

 

おれは、答えない。

…変わりに、蜂谷が答えた。

「それは違うよ水城。

先生は始めから武器は一人一つまでなんていってない。」

「でも…!…そうしたら、たくさん持って行った方が有利なはず。」

「こういっちゃなんだだけど。

水城みたいに勝手に思い込んでる人もいると思う。

 

…視野が広いやつが勝つ。」

 

そういうと、蜂谷は俺に方をみて無理やり口角を上げて笑ってみせた。

 

「まあ、そういう事…「カチッ」

俺が言い終える前に、足下から不気味な音がした。

 

「……え?……まさか。」

 

「そのまさかだよ。春一くん。

足下に地雷をしこんでおいた。」

 

 

(マジか…マジかマジかマジかマジか…。)

 

 

 

 

 

諦めて足を放した瞬間、俺達3人を巻き込んで

 

……爆発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

異世界ならここを曲がってすぐですよ。 八話

「ミチル、遅いぞ。」

「ごめん、お兄。ちょっと友達がしつこくて。」

コイツ…もう友達出来たんか…!

と俺は内心恨みごとがよぎるが、それどころではない。

今、俺達は寮の裏口からこっそり抜けてきた。

リミットは、45分。

その間にやることを終わらせねばならないのだ。

無駄話などしている暇はない。

「まあ、いい。

とにかく…わかってるな?」

「大丈夫だよ。

早くいこう。」

そう言ってミチルは腰から二丁の拳銃を取り出す。

俺はそれに応えるように、同じ拳銃を一丁取り出す。

見た目は通常の拳銃とさほど変わらないが、扱えるのはごくごく限られた人間。

魔力を弾丸とするので、使用者の魔力が尽きない限りは無限に打ち続けることができる。

威力も通常の拳銃なんかとは比べ物にならない。

「いくぞ!」

俺達は同時に足にブーストをかけて全速力で駆け出す。

周りは森。

今回の目的は襲撃者の捕捉。

いつどこでヤツらが隠れているか分からない。

「ミチル。探知全開で頼む。」

「やってるよ。」

なるべく最小限の会話で集中が途切れないように、気を張る。

それから数十秒後、

「いた!

男3人。前方、200m」

「了解!

お前は一人の方を…えっと、レベル低そうなやつね?

…殺していいよ。二人は生かして捉える。

終わったら応援よろしく。」

「了解!

先いってるよ。」

 

ミチルが二重にブーストをかけて加速する。

 

◇◇◇

 

私は男に気付かれない内に、片方の男に向かって右手で引き金を引く。

頭を狙った。

「ぐあっ!」

だが、男は異常なまでの反応速度でよける。

弾丸が片耳に掠れる。

私は間髪入れずに今度は左手で引き金を太股に向かって引いた。

着弾と同時に鈍い音がする。

最早、男の足と耳は使い物にならない。

この状況で私を退けることは不可能だった。

最後に、二つの弾丸が男の頭蓋骨を貫通した。

「ふうっ…弱いな。」

そう言って私は返り血で濡れた頬を拭った。

 

◇◇◇

 

「だ、誰だ!!」

男の一人が俺にそう問う。

だが、俺は答えない。

集中しているからだ。

俺は、まだ、この二人を殺すつもりはない。

先ずは、……捕捉する!!

覚悟を決めて、茂みから飛び出す。

当然、それに男二人は反応を示す…が、茂みから飛び出したのは…石だった。

 

一瞬、石に気を取られた隙を見計らって二人の太股に強力な弾丸を撃ち込む。

同時に二人は足を吹き飛ばされ、崩れ落ちる。

だが、まだだ。

腕にも動揺に弾丸を撃ち込む。

満足に身動きを取れなくなった二人をよく確認して、茂みから這い出た。

ちょうど、ミチルも終わったのか戻ってきた。

「お兄、終わったよ。

相当弱かった。」

「そうか、こっちも終わった所だ。

まずは、目的を聞き出そう。」

 

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「う…くっ…」

「ようやく目覚めたか。

水ぶっかけてんのになかなか起きないから焦ったぞ。」

「だ…誰なんだ…お前らは…!!」

男が俺達に問う。

「逆に問おう。

お前らこそ何者だ?

なんの組織に所属してるのか…言え。」

そう言って片方の男の眉間に銃を突きつける。

「ひっ…や、止めてくれ…!」

「質問に答えたら止めてやるよ。」

「……わ、分かった。

俺達の所属する組織の名前は『ルゥーイン』

今回の目的は1、2、3の魔法学科のある高校を潰すための偵察だった。

流石に、校舎に乗り込むには無理がある。

だが、幸いなことにこうして3校は泊まりがけの研修だったというわけだ。

……解放してくれるか?」

 

「まだだ。

後一つ、お前らが…」

言い掛けたとたん、隣から銃声が響いた。

ミチルの足下には眉間に風穴をあけて崩れさった男がいた。

「おい…ミチル!

少しくらい待てないのか!?」

「…………。」

ミチルは何も言わなかった。

「ひっ…た、助けてくれよ!?

ちゃんと全部話すからな!?」

「分かってるよ。じゃあ、次の質問。

…どこの国の人間だ。」

 

「…俺達は多国籍組織だ。

組織自体があまりに大きくて、世界中に支部がある。

俺はその中の日本、関東支部といったところだ。

下っ端の俺達には大した情報なんてない。

これからの作戦の動きも、詳しくは知らない。」

 

「そうか…情報提供に関しては感謝するよ。

……じゃあな。」

 そう言って、俺は男に銃を向けた。

「は、はあ!?

ど、どういうことだよ!

助けてくれるんじゃなかったのか!?

おい!聞いて…」

男が何かを言い終える前に春一は引き金を引いていた。

 

「…ミチル!」

「…なに」

「何じゃねぇよ!

ちょっとくらい待てないのか!?」

「憎かった。」

「………。」

俺はそれを聞いて何も言えなくなった。

ミチルが死体を見ながら悔しそうに放った一言。

その意味する深い所を俺は理解していたから。

 

 

 

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とりあえず、死体処理はしておかなければならない。

ということでせっせと穴を掘り、地面に埋めた。

本当なら焼いて処理したいところなのだが後に死体を詳しく調べることを考慮してそのまま残しておきたかったので埋めるという結論にいたった。

 

◇◇◇

 

(疲れた~)

シャワーを浴び、血を落としてから自分にあてられた部屋にあるベッドに寝ころんだ。

蜂谷はまだ帰ってきていないようだった。

(少し…寝ようかな。)

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「起きて…起きてー!

春一くん!集合かかったよー!」

 

「あ、んん…。

ありがとう。…蜂谷か。」

 

時計を見るとまだ午前中の10時。

「これから試験なんだって。

顔洗ったらすぐに下のロビーに集合して。」

「分かった。

すぐいく。」

もう少し寝たい気持ちはあったが、無理やり重い体を起こして洗面所に向かう。

(…なんか疲れたな。

これから試験なんだ。気を引き締めていこう。)

 

 

ロビーに着くと、クラスの人間がすでに殆ど集まってきていた。

(ミチルは…クラス違うからな…。

ちゃんと集合したかな。)

「春一くん!こっちだよ。」

蜂谷が手を振って呼んでくれたのでそこへ並ぶ。

 

「よし。全員揃ったな。

では、これから宿泊研修1日目の実技試験を開始する。」

それから先生が試験に付いての説明と注意を述べていく。

 

「ここの寮を出たらすぐに森が広がっていることはもう皆が周知のことだろう。

そこが試験会場だ。

その森は既に私達教員によってラインがひかれ、6つに別れている。といってもかなり広いがな。Cクラスはその内の一つのエリアでバトルロワイヤルをしてもらう。

…ただ、武器は全てこちらが用意する。

それ以外の物を用いたら失格だ。」

 

「全ての武器は訓練用に仕込まれていてちょっとやそっとじゃ殺せないようになっている。

時間は無制限。

人数が8人になったら終わりだ。

…質問は?」

 

「はい!先生、飯は!?」

クラスの…誰だったかな。

質問がお粗末過ぎて頭の程度が知れてしまっている。

「試験が終わってからだ。

さっさと試験を終わらせることだな。

…他には?」

 

皆が沈黙を守る。

その目には皆、覚悟が宿っていた。

普段いくら仲良くしようが関係ない。

試験では真剣に徹底的に互いに殴り合う。

そんな暗黙の了解がクラスにあった。

(なるべく全力は出さずにいこう。

周りに手の内を明かす訳にはいかない。)

 

「では、移動開始。」

 

◇◇◇

 

皆が好きな武器を取り、森へ消えてゆく。

協定を組む者もいれば、独りで戦いに挑む者もいる。

俺はピストルと______。

 

 

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あとがきです。

すみません!投稿遅くなりまして…

これからも頑張っていこうと思います。

コメントください。(切望)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

異世界ならここを曲がってすぐですよ。 七話

三時間。

 

…そう、三時間だ。

 

刀の魔法「瞬間移動」を使って青空を飛び回った時間。

元々、魔力が満タンだったわけではなかったらしい。

そして、三時間たった今。

一か八かで電信柱へと飛んだ。

 

「ひ、ひぃぃぃ!?」

 

魔力切れ。

 

怖い…高いよーう。

刀は電信柱に突き刺さった状態に飛んだため、電信柱は内部からのダメージに耐えられず、今にも倒れそう。

 

「ていうか、こんな使い方があったとは…

一度突き刺さった状態に飛んじゃえば対人戦の時有効だな…」

 

「にしても、どないしよ…これ。

誰かに見られたらなんか…ちょっと…。」

 

既に日は沈んでいる時間帯。

ゴールデンタイム。

しかし、「ご馳走でしたー!」

「ねぇねぇ、お母さん!デザートは?」

「もう!仕方ないわね!コンビニ行って買ってきなさい。」

「やったーい!」

みたいな?

あるでしょ?

飛び下りれば良いじゃん?

いや、無理無理。怖い。

なんて、夜中に一人ぶつぶつ言う俺に艶やかな黒髪を肩まで下ろした美少女が声をかけてきた。

 

「……………なにしてんの?お兄…。」

 

妹だった。

 

「……………あ、うん。ちょっと運動。」

 

「早く降りてきなよ。お父さんがご飯作って待ってるよ?」

「お前は何しにきたの?」

「アイス買いに来ただけだけど。」

「じゃあ、ちょっと人助けしてかない?」

「人助け?誰を助けんの?」

「俺だよ。降りられないんだよ。」

「……………ウインド」

そう言いながらミチルは人差し指を俺に向ける。

「うお!?」

俺の背中に力強い風が押し寄せる。

無事着地。

「助かった…ありがとうミチル…」

「で、何であんなとこいたの?登るにしてもちょっときついでしょ?」

「いやいや、のぼり棒が恋しくなってさ。」

「ふ~ん。まあいいけど…」

ミチルは目を細め俺を睨む。

いかにも、怪しんでますよ~という顔だ。

「アイス。」

「へ?」

「アイス奢れっていってんの!助けてやったんだから。」

「ああ、そういうことね。分かったよ。」

   

 

 

 

コイツ…躊躇なく300円くらいする高いアイス買わせやがった。

 

ん?まてよ?よくよく考えてみれば、自分でまた魔力込めれば良かったんじゃ…

何か300円損した気がする。

 

◇   ◇   ◇

 

研修当日。

 

 

「おはよう春一!よく眠れた?」

「おはよう圭司。ちょー眠い」

「マジ?やばくない?多分だけど、この研修は実技が多いんじゃないかと思うよ?

せっかく田舎の方にいくんだし。」

「だろうな。

恐らく実技メインだろ。

二学期の評価にも結構響くでしょ。」

「じゃあ、なおさらヤバいじゃん。」

「ん?なんで?」

「いや、だからさっき寝不足って…」

「それなら、さほど問題はない。

ほら、俺って自分でいうのもアレだけど中学の頃から実技良かったじゃん。」

「ああ~確かに。

対人戦じゃ結構活躍できるかもね。」

 

さらに対人戦において手の内を知られていないというのは大きなアドバンテージだ。

何せ一学期は筆記しかなかったからな。

 

「ほら、早くしてよ春一!

バスが行っちゃったらどうすんだ。」

「はいはい。遅刻なんてするわけねぇだろ?」

「いや、マジで時間ヤバいから…ホント。」

「え?マジ?」

時計を見ると、7:50を指していた。

「やべぇ、あと10分じゃん。」

「急げ」

俺達は自分の足にブーストをかけ、地平線の彼方まで駆け抜けた。

 

「地平線の彼方って…」

ミチルさんは俺の語彙力に不満があるようです。

…いっとけど、お前より俺は筆記の成績いいからね?

 

 

ちなみにブーストとは、基礎魔法の一つ。今時は魔法学を勉強してるものなら出来て当たり前のレベルだ。

数学に例えると、足し算引き算みたいなもの。

ブーストをかけると、物の性質が向上する。

足にかけると、脚力が増加したり。

ピストルにかけると威力や射程、発射速度が向上するなどといった効果がある。

 

 

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「間に合った…。」

もう、あと二分後には出発だ。

「春一、早く乗ろうぜ。」

うっす。

 

 

「えっと、俺の席は…。」

「ここだよ!梅花君。」

「ああ、どうも。え…と。ごめん、名前は?」

「僕?僕は蜂谷。知り合いは皆、僕のことを『ハッチー』て呼んでる。梅花君も好きに呼んで構わないよ?」

 

おお、なんて好印象の男子。

一見、気弱そうな感じではあるがそこがまた話しかけ安いな。

友達も多そうだ。

「ああ、ありがとう蜂谷。

俺は梅花だが、もう一人いるし紛らわしいから春一でいいよ。」

「ああ、そうだね。梅花さんと被っちゃうや。はは…」

はは…って、なんて柔らかい自然な笑顔。

これはさぞ、おモテになるんじゃないだろうか…?

「まあ、一学期が終わってもう二学期とはいえ皆ほとんど初対面みたいなもんだしな。」

 

「でも、春一は筆記の点数がすごく良かったから結構皆知ってるんじゃないかな。名前くらいなら。」

「そんなもんか。」

 

しかし、このバス…えらい防御力のありそうな感じだな。なんか、襲撃でも備えているのだろうか…。

「そりゃもちろん。

最近、海外からの襲撃も増えてるしね。」

「あー、確かにそうだな…って、悪い…昔から考えごとすると口にでちゃったりする癖があって。」

「あはは、まあ癖ってそんなに簡単には治らないしね。僕も昔は_________癖があってねー」

「へー、なるほど。」

 

俺と蜂谷はバスでの移動時間を無駄話で潰していた。

 

「でっかいね~。春一くん!」

「そうだな…。流石にここまででかいとどん引きだな…」

あっという間に寮についていた。

東京ドーム3…いや、4…やっぱり3かな…よし!3個分といったところか。てかもう寮って広さじゃないだろ…。

なんたってうちの学年は6クラス。

1クラス50くらいなのでだいたい300人。

300人にこの広さはいらない。

明らかに運動させる気満々だ。

あ、グランウンド広っ!!

 

「そういえば、結局来なかったね。

松前城くん。」

「ああ、そういえばそうだな。」

松前城とは例の調子こき太郎のことである。

結局、腹痛(建前)で休んだとか。

松前城くんって筆記の結果はものすごかったって聞いたけど。」

「らしいな。おそらく俺よりいいんじゃないか?」

「そりゃすごい。」

「へへ…」

「?」

なんか首傾げられた…

遠回しに誉めてんのかと思ったじゃんか…。

「ところで、蜂谷の部屋番号は?」

「春一くんと一緒だよ。」

「え?そなの?」

「そうだよ!今回は僕達の二人部屋だから気兼ねしなくてすみそうだね!」

「良かった~。

知らない人と二人きりの部屋だったらどうしようかと…」

「はは…」

 

しかし、それにしても景色が綺麗だ。

心なしか空気もおいしい。

ここからでも海が見える。

あとで蜂谷と遊びに…。

 

「集合だ!集まれBクラス!」

俺のクラスの担任が集合をかけていた。

先生は全員集まったのをざっと確認すると、

「では、これからは一時間に渡り自由行動とする。この寮については予め説明したこと以外は何も口を出すなと言われている。

この一時間をどう過ごすかはお前たち次第だ!では、解散!」

おお、なんと放任主義…。

周りを見渡すと「購買行こうぜ~」とか、「食堂いこうぜ~」とか「風呂風呂~」とか…。

結構やりたい放題だった。

この寮には娯楽施設も完備しているらしく、大分楽しめそうだったな…。

 

「けど、俺にはまずやらなきゃいけないことあるしな…。」

そう言って俺は颯爽とロビーに向かっていった。

 

「ねぇ!春一くん!カラオケいこうよ!

………てあれ?春一くんどこいったんだろ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

異世界転生ものは能力に『無』がつくとだいたい強い。2話

(つ、疲れた…)

 

「で、では話を進めたいと思います…」

 

俺達を召喚したのは目の前にいる美人さんであるエリナさん。

エリナさんはこの国の魔法使いとやらで、中級魔法士の資格も持っているかなりのエリートとのこと。

今、俺達がいるのは国王の城にある地下。

そこではちょくちょく魔法実験が行われているのだ。

 

今、この世界は魔族側に戦争ふっかけられて苦戦しているのだそう。

中でも、もっとも困るのが魔物の大量出現。

魔族がいることで無限に湧き続けるらしい。

魔物には基本。知恵がなく、無差別に人を襲うらしい。

そこで俺達というわけだ。

俺達の目的は魔王ではなく。

取りあえず魔物の根源である魔族を減らすこと。そのために強力な能力が必要だというわけだった。

ちなみにこっちの世界で暮らしている間は向こうの世界の時間の進み方はゆっくりなのでそんなに心配するなとのこと。

 

「「「はーい。」」」

「おっけい……。」

 

「あ、ありがとうございます…。

まず、異世界の大まかな説明は終わりましたので次は…」

 

「つ、次は?エリナさん。もしかして…!?」

「フッ…スキルであろう?」

「異世界チート!」

「…うんこにチートなんざあるわけ…」

 

「ま、まあ、その通りです。

これから皆さんは鑑定を受けていただき、能力を確認してください。」

「「「ほう…」」」

(これは!?絶対に『無能力』を勝ち取らなければならない!)

(おそらく…我の能力は『無能力』だぁ!)

(取りあえず今は、うんこ呼ばわりでいい。

だが!無能力無能力無能力無能力無能力…)

 

そう、俺達は知っている。

異世界ものは『無能力』こそが最強であると…!

 

「では、皆さん。順にこの水晶に手をあててください。

直に浮かび上がりますので…」

「「「お先にどうぞ!」」」

(だいたいこういうのは最後に『無能力』がくるんだ。)

(チート能力はだいたい最後にくるもんだ…)

(無能力無能力無能力無能力無能力無能力…)

 

お互い譲りあう紳士な俺たち。

いいから早くやれよ。

 

「いやいや、快!先に行っていいぞ?

遠慮すんなって!なあ、うんこ?」

「いやいや、我は最後でいいぞ?貴様等が先にやるといい。」

「うんこはうんこだから一番最後でいいぞ?」

「………じれったい…じゃあ私が先に…。」

「あ、はい。カナさんが一番ですね?

…っと…はい。準備できましたよ。」

「……ん。ありがとう。」

 

カナが水晶に手をあてた途端、その周辺の空気が歪みはじめた。

「おお…!」

「なんかすごい」

「幻想的だな…」

 

数秒待つと、歪んでいた周辺の空気に文字が浮かび上がる。

「こ、これは!?」

「………ぐすん。」

「うわぁ…」

 

…『無能力』と浮かび上がっていた。

 

「……なんと…エリナ…これって絶対弱いやつだよね…。」

カナが少し不安そうにエリナに問い掛ける。

「そうですね…これはちょっと…いや、一番弱いやつ…です。」

「……そう…。」

(((あ、意外と落ち込んでる…。てか…)))

 

「「「うわぁぁぁぁー!!」」」

「え?え?な、なんですか?急に!?」

「ぐ…くう…悔しい…。」

「うらやましいよ…『無能力』!」

「うえぇぇぇん……」

「………?」

急に悔しがる男3人にカナは首を傾げる。

「な、なんでですか!?

『無能力』が羨ましいんですか!?

それともカナさんを馬鹿にしてるんですか!?」

 

「「「い、いやそれはちが…「最低です!反省してください!カナさんに精神誠意謝ってください!!」

 

どうやらエリナは思い込みが激しいようだった。

 

◇◇◇

 

「仕方あるまい…次は我がやろう。」

「あ、はい。…どうぞ葉月さん。

ここに手を。」

エリナが水晶を指差す。

 快が手をあてると再び周りの空気が歪みだす。

 

「むっ!?これは!?」

 

…『無能力』と浮かび上がっていた。

 

「はぁ!?なんだこの確率!ふざけてんのか!?」

「そうだそうだ!ずるいだろ!」

 

「フッ我こそは選ばれし者…ま、当然の結果だな…」

そう言って快は嫌らしい笑みを浮かべるが…

「あの…先程から皆さんは『無能力』を希望しているかのように見えるのですが、こういったらなんですが…『無能力者』なら溢れかえるほど存在してます。

『能力者』に比べて魔力も少ないですし…別に選ばれし者というわけでは…」

 

「え?いやでも…僕本で読みましたよ?

『無能力』っていうのはだいたいチートだって…」

快が素に戻りながら目に見えて焦りだした。

「えっと…申し訳ありません。

それはありえないかと…。

だいたいもしも、『無能力』の方々がチートでしたら、この世界がチートで覆いつくられてしまいますよ。完全にゲームバランス崩壊しちゃってます。

それほどまでに多いんです。能力の恩恵をうけられるのは一部のそれこそ選ばれし者というわけです。」

 

 (((異世界って横文字対応してるんだ…)))

 

「え?ほんと…ですか?

そしたら僕の…ハーレム計画は?

どうなるんです?」

快がなおも焦りだす。

それもそうである。

元々『無能力』こそが最強なのだと勝手に信じてやまなかったのだから…

 

「プッ!聞いたか?大輔?快のやつ『無能力』のくせして選ばれし者とかいってたぞ…」

「ああ~恥ずかしいな~。

これは恥ずかしいな~

てか、冒険するとき邪魔だなぁ…。

足引っ張ってくれるなよ?プププゥ!!」

 

「き、貴様等…へぶぅ!」

((へぶぅ?))

快が殴られていた。

カナに。

「か、カナ…ど、どした?急に…」

「そ、そうだよ。カナちゃん。」

快を殴ったカナは顔を下に向けて肩を震わしていた。

「い…たた。な、なんだ急に…。」

カナな追撃をくらわせようと拳を振り上げた。

「……あんたのせいで…私もあいつらに…馬鹿に…されて…くぅ…。」

バコバコとカナは快を殴り続ける。

「ふざ…けんな…。家にも帰れ…ないし!」

最後にカナの渾身の蹴りが快のみぞおちを捉えたが…

 

ーーカナも快も泣いていた。

 

◇◇◇

 

「じゃあ次は俺が…」

「あ、はい。

大輔さんですね。」

どうぞ!とエリナが大輔に水晶を差し出す。

 

(もうこの際、ハーレムとかどうだっていいから『無能力』だけはやめてくれ…

じゃないと今度は俺が快のようになる!

それだけは…いやだ。)

 

またしてもモヤァと空気が歪みだしてから文字が浮かび上がる。

 

(頼む…!『無能力』だけは…!)

 

 

 

…『無能力』と浮かび上がっていた。

 

「な、は、はぁ!?

『無能力』ってどんだけ確率たけぇんだよ!」

おもわず悠が声を荒げる。

「すすすすみません!

で、でも、異世界召喚された方々は能力者になる確率は相当高いはずなんですが…!」

 

当の本人。

大輔はただただ呆然としていた。

目の光は完全に失われている。

「………馬鹿にしていた癖に。」

「フッ!我と同類。

光栄に思うといい!」

 

 

◇◇◇

 

「んで、最後に俺と…」

「は、はい。

悠さん。どうぞ。」

「どうもです。」

俺は気合いを入れた。

(なんとしても…!ここで!

能力者にならなければならない。

…エリナさんのために。)

 

「うおぉぉぉ!!」

俺は雄叫びをあげながら水晶に手を当てる。

 

「………悠。 

別に叫んだって結果は変わらない。

どうせあなたもこっち側(無能力)なのだから…。」

「や、やめろよぉ…そういうこというの…。」

 

 

……『聖剣の使い手・勇者』とでていた。

 

…あれぇ?

 

(ど、どどどどういうことだ!?

これ絶対強いやつ!)

「キャアアアアァァ!!」

エリナが急にあげた悲鳴に一同の視線が水晶に集まる。

 

「……勇者?

エリナさん。…これは?」

「こ、こここれは!

すごいんですよ!悠さん凄すぎます!」

 

(…なるほどね。)

悠は察した。

(これは…エリナさんがお嫁にきてくれる展開だわ。)

否、妄想一杯だった…。

「勇者の名前がつく能力者はこの世界にはまだ悠さん以外で3人しかいないんです!

名前の通り、最強の能力ですよ!」

 

(きたきたきた~!

ご都合展開やってきました~!)

 

「え、じゃ、じゃあ…悠のハーレムは確定したようなもの…?」

快がもはや光を失ったかのような目でそう告げた。

「ハ、ハーレムかはちょっと分かりかねますが…まあ、相当モテるかと。」

 

「まあ、狙ってくるのは逆玉狙いでしょうが…」とボソッとエリナが言うも聞いてない。

 

「ゆ、悠だけ…が…勝ち組…?」

 

「はは…まぁ、当然の結果だな!」

悠は声出して愉快そうに笑うが一同それどころではない!

特に快や大輔にとって逆玉狙いの女が悠に近づいてくるのは避けたかった。プライド的に…。

 

「ところで悠。……私って結構可愛いと思わない?」

逆玉狙いが現れた。

 

 

 

 

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頑張ります!頑張るので、コメントください!

楽しみにまってます!

 

 

 

 

 

 

異世界ならここを曲がってすぐですよ。 六話

「明後日から一週間、泊まりがけの研修が始まります。準備するものは特にありませんが、心の準備は各自でお願いします。」

 

は?

 

「「「ええぇーーーーー!?」」」

そりゃそうだろう。

いきなりこんな事いわれたら、その反応は当たり前だ。

 

「先生!いきなりそんなこと言われても困ります!」

女子の一人がなんかごちゃごちゃいってるが、無駄なあがきだ。

もう決まったことなのだ。

大災害レベルの非常事態が起きないかぎりは絶対に中止になることはないだろう。

なにせこの学校、本気で魔法学の勉強するとこだしな。

ちょっとやそっとの災害じゃあ、むしろ「魔法でなんとかしろぉぉ!」とかいいそうだしな…。

 

「文句があるなら来るな。

…といっても、来なければ今後大変な目にあうだろうな」

怖いです先生…そんなこと言われて、

「じゃあ、俺いかねぇー」とか言うやついねぇから。

「じゃあ、俺いかねぇー」

いぃぃたぁぁぁ!?

いるよ!馬鹿が一匹!ここは学校だよ?

動物園じゃないし、猿山じゃないからね?

「そうか、では君は留年も覚悟しておくといい。」

そこまでするのか…?

流石に脅しだろうが。…多分。

「なら、病欠です。

これなら文句ないでしょう?」

「証拠もってこい。

医者にはなんの病気と診断されたんだ?」

「そうですね…医者には、肺炎と。」

「馬鹿なことをいうな。

そろそろいい加減にしろ?」

「明日診断書をお持ちしましょう。」

「…好きにしろ」

なんだあの男。

マジで調子こいてんな…

「なんだあいつ…」「ほんっと…」

「皆我慢してるってのに…」「萎えるわー」

ほんとそれな…

 

「まあ、いい。とりあえず授業は十分後に始める。」

「「「はーい」」」

 

◇   ◇   ◇

 

「ちぃぃ!!死ねぇ!くっっそ!腹立つ!!」

帰り道である。

なんかミチルがご機嫌斜めだ。

なんか放課後に例の調子こき男と揉めたらしい。最終的には、ミチルが何も言い返せなくなって教室を飛び出してきたというわけだ。

馬鹿だなぁ~ミチルは~(笑)

「ああ!?聞こえてますよぉ?お兄ちゃん!」

やべ…死ぬ。

そう思った瞬間…いやすでに往復ビンタをこれでもかというくらいに妹に浴びせられていた。

「ああ、なんか凄いスカッとしたわ…

ありがとうお兄。」

「…ど…どういたしまして…」

…血も涙もねぇな。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

「ただいまー」

「お帰りなさーい」

案の定、母さんは仕事にでてしまったようだ。

大変ですな…。

 

「やっぱりお母さん行っちゃったか~。

寂しくなるな。」

「そんな事ないさミチル!ほら!」

なんか父親が凄いアピってる…妹に。

あざとキモイよ父さん…。

「あ、そうだ。春一、母さんからお前にこれ。」

そう言って父さんは手紙のようなものを渡してくる。表にはサポート科のエンブレムっぽいものがある。

(…多分、エンブレムなんだろうが確証がないので『っぽい』と付け加えておく。)

「なにこれ?」

「さあ、父さんにもよくわからんな…」

「お兄!私も見たい。」

いや、ダメだろ…エンブレム(っぽい)の上にでかでかとマル秘ってかいてあるし…

てか、お前見えてんだろ。

「いや、これは俺宛てのラブレター。

他者に見せられる訳がないだろ?」

す、凄い…俺の父親がここまで大人気なかったとは。

なんか、めっちゃ睨んでくる。

「春一、お前に母さんはやらんぞ…

ミチルで我慢しとけ。」

「いや、いらな…「我慢…?」

み、ミチル~!

ややややヤバい!

「じゃ、じゃあ俺は自分の部屋いくから飯の時呼んでね。」

即退散。

 

階段を上る途中、後ろから父親の悲鳴が聞こえたのはいうまでもない。

安心しろ。骨は拾ってやる。

 

◇   ◇   ◇

 

自室のドアを抜け、ミチルが入ってこないように鍵をかける。

「ふい~。さてさて」

俺は微量の魔力を手元に集中させ、魔法陣を出現させてからおもむろに手を突っ込んだ。

「これか。」

魔法陣がフッと消えて、例の刀が出現する。

「この手紙、どうせこの刀についてなんだろうな…」

ベットに腰を掛け、封筒から中身を取り出す。

「んー。どれどれ?」

 

     春一へ。

 

なんとなく察しはついているでしょうが、この手紙は例の刀についてです。

といっても私がこしらえた魔法武器(マジックウエポン)ではないので細かい話は出来ないのですが。(笑)

 

さて、まずその武器の使い方から入ろうと思います。

(まあ、説明する事も使い方くらいだけど…)

その武器の名前は勝手に決めといてください。

 

~使用方法~

 

まず、この魔法武器は魔力をあらかじめこめておくことで本領を発揮します。

柄を持ちながら、魔力を集めれば、自動的に充電してくれます。(スマホみたいなものですね。)

 

しかし、過度に武器本体の魔力が枯渇している場合は強制的に魔力を吸い取られるのでご注意を。

春一が初めてこの刀を握った時に気持ち悪くなったのもこれが原因です。

なので定期的に充電しておきましょう。

 

次のステップです。

この刀は威力、切れ味共に申し分ありませんが、たった一つこの刀を所持するものにしかあつかえない魔法があります。

 

それは…『瞬間移動魔法』

近年魔法が復旧し、あらゆる分野で研究が進められていますが、その中でも未だ可能とされていない魔法の一つです。

 

しかし、「瞬間移動だー。わー」といつでもどこでも好きな所に飛べる訳ではありません。

 

飛べる場所は、「視界に移る場所」

「あれ?意外とひろくね?」と思ったそこのあなた?

ちっちっち!

視界に移ってなきゃいけないんですよ?

まあ、こればっかりは実際に使って思い知ってください。

 

最後に!

ミチルと仲良くね?

喧嘩しちゃだめよ?

 

          ミチルと春一の母より

 

                   』

 

 

 

 

それにしても瞬間移動ねぇ…

 

まじかよ。

 

スッゲェもん貰ったな…てか何であげちゃうの?それ以前になんで持ってんの??

…疑問しかない。

あと、ミチルの前で隠してた理由もわからない。

 

まあ、取りあえず使ってみるか。

 

俺は、二階の窓から隣の家の屋根を見て目に力を入れた。

瞬間、目の前の景色が変わった。

隣の家の屋根から見た景色だ。

「すげぇ。」

俺は思わず感嘆してしまった…。

これは…

「楽しい」

 

青空を散々飛び回った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

異世界転生ものは能力に『無』がつくとだいたい強い。 オリジナル小説 1話

「勇者よ。よくぞ召喚に応じてくれました。

…お顔を上げてください。」

俺達は言われたとおり顔を上げる。

「「「いよぉぉぉしゃぁぁぁぁ!!」」」

「……うぇーい」

 

「え?」

思わず目の前の綺麗な女性は首を傾げた。

女性の経験上、召喚に応じた者は焦りだし声を荒げるものだったから。

今回も、それを覚悟していた。

それがどうだろう。今、目の前に広がる光景は。

まあ、確かに声を荒げてないわけではないが…何だか喜んでる気がする。

 

「「「いぃぃよおおおぉぉぉぁぉしいぃぃぃぃ!」」」

「……うぇーい……眠っ」

 

召喚に応じてくれた4人の勇者候補。

喜んでくれることはとても嬉しいのだが、何というか…大丈夫だろうか…頭とか。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

(やっとおさまった…)

「初めまして!お、俺の名前は井澄ゆう!…です!」

「…おいおい。ゆう、お前まともに自己紹介もできないのかよ?」

「あ?」

「フッ、我が戦友がこの程度とは…失望したぞ?」

「あ?」

「私は…ゆうの自己紹介は普通にいいと思…どうでもいいや。」

「おい。」

 

女性の頬がひくつく。

(か、完全や向こうのペース!

だめよ私!頑張らなきゃ!)

 

「どうも、よろしくお願いしますね。

ゆうさん。

私の名前は、エリナ。

エリナと申します。」

 

「ほう…エリナか…良い名ではないか。

それこそ我の……わ…れ…の…えっと…こ、いびと…あ、ちがくて…」

「我の?」

「どうも、初めまして。さっきは、自分の事我とか言ってましたがゆうに言わされてるだけです。

僕の名前は葉月快。

よろしく。」

「適当言ってんじゃねぇよ!

エリナさん!俺は言ってないから!

コイツが勝手に言ってるだけだから!」

(あはは…)

エリナは苦笑するしかなかった。

(は、話進まない…)

 

「んで、この中で一番イケメン(自称)の俺の名前は…「私の名前は水城カナ…」

 

(((被せてきたなぁ…)))

 

「俺の名前は…「よろしくエリナさん…」

 

(((…………。)))

 

「俺の…「私の好きなものは、ゆうの絶望した顔」

 

((ええぇ…))

(お…俺ぇ…?)

 

「おr…「私の嫌いなものは、大輔とその存在を認めてる人間。」

 

(((うわぁぁ……)))

 

「え、えっと…大輔さんとは…」

「…敬称は必要ない。うんことでも呼べばいい…」

(え…えぇ…)

「………どうも、ご紹介預かりました。

………

………

………うんこです。

 

よろしく。」

 

 

(え、ここはうんこって呼べばいいのかしら…えぇ…どうしよう。でも、それは流石に…)

 

「あ、え…と…う、うんk…いえ。

大輔さんよろしくお願いしますね。」

エリナは取りあえず微笑んだ。

引きつった顔を無理やり笑顔に変えて乗り切ろうとしたのだ。

 

 

(((…………今、うんこって呼ぼうとしたな。)))

 

(あれ…?)

 

「…………おい。

お前、話…聞いてたか?」

 

「ひぃ!?」

エリナは恐怖で声を上げる。

カナは笑っていない。

もともと、無表情であった。

しかし、今は……。

 

「……うんこと呼べと言ったよな?

……もしかして…うんこの存在を認めてるのか?」

 

(目…目が…怖…ど、どどどどうしよう。

凄い怒ってる…ここは取りあえず)

 

「いや~、大輔っていうのは私の友人の話でぇ~。

そこの“うんこ“とは別人っていうか~」

 

「あっそ…」

 

(は、恥ずかし~。…死にたい。てか怖かった…)

 

『なんかすげー口調じゃなかったか?』

『うむ、これぞまさに性悪女だぞ。ゆうも気をつけるといい。』

 

(き、聞こえてますよ~。

自分で言うのもアレですけど…私そんなに性悪じゃないですよ~。

あれは演技っていうか…。)

 

『うう…ぐすん…。

俺はエリナさんにまでうんこ呼ばわりされてしまった。死にたい…ぐすっ。』

『『じゃあ、死ねようんこ野郎。』』

『ああ!?』

 

「…エリナさん。…話進めたい。」

 

「あ、失礼しました。」

 

『元はといえばカナが話止めるから…』

ボソリとゆうがつぶやいた一言に一同が青くなる。

 

「ゆう…今のは聞かなかったことにしてあげる。」

「………すみません。すごくすみませんでした…。」

 

(カナさん…見た目は大人しい感じであまり感情をおもてにしなさそうなのに、顔にしなくても伝わってくるんですよね…)

 

「申し訳ありません。

この世界の説明についてはまだでしたね。

あの…たぶん。勇者候補様たちは元の世界に戻りたいかもしれませんが、どうかこの世界や協力していただけませんでしょうか?」

 

「エリナさん。…私は帰れるの?」

 

「そこは安心してください。

いつでも帰ろうと思えば帰れます!」

 

「「「ことわぁぁぁぁぁるうぅ!!」」」

 

「えええ!?ど、どうして?

帰りたくはないのですか?」

 

「「「いや、まったく。」」」

「私は帰りたい。」

 

「ハーレム作ってやるんだ!」

「我はハーレムを作る!!」

「ハーレム作ってやるぜ!」

「…………。」

 

(……………ホントに勇者候補かな。)

 

「申し訳ありません。カナさんだけで帰ることはできないんです。

帰るときは四人一緒じゃないと…。

それに、一度帰ってしまうと二度と戻って来れないんです。

お願いします。この世界に協力していただけませんか?」

 

「…………といっても。向こうの世界で親だって心配している。」

 

「「「自惚れんな!!」」」

 

「…………は?」

 

「「「お前に心配されるだけの価値があるとでも!?どうせ、今だってお前の親は第二号産むために気持ちいいことしてんだよ!」」」

 

「…………あ?………もう40後半だぞ?」

 

「「「…………。」」」

 

「………心配…して…ない、かも?」

 

(カナさんが!カナさんが少し目に涙を溜めている!?)

 

「…………っぐすん。」

 

 

『な、なんだこの罪悪感…』

『『ったくゆうは女を全くわかってないな。』』

『…てめぇらも一緒になってだろうが。

てか、お前らは女を知ってるのか?』

 

お前らだって知らんだろ?みたいな顔をして快とうんこを見るが…。

 

「なあ、カナちゃん。

僕って思うんだけど…ゆうって最低だよね。」

(おいおい。快くん。何素に戻ってんの?)

「…………。」

「そうそう。全部ゆうが悪いんだぜ?

最低だよな。」

「お、おいお前ら。俺に罪なすりつけようとしてんじゃねぇよ。」

「…………ゆうってそんなに私の事嫌いだったんだ…。…………私、知らなかった…。」

「ち、違う!そんなこ…「みなさん!やめてください!」

 

「え?ちょ…ちがくて…俺はカナに謝ろ…「やめて!ゆうさん!カナさんいじめて何がたのしいんですか!」

 

((エリナさーん。最高~。

そのままゆうが堕ちていけば俺のハーレム計画の邪魔は…))

 

(快だけだ!)

(うんこだけ!)

 

そろぞれがあまりに自分勝手過ぎて話が次に進むのに数十分時間を要した。

だが、誰も知らない。

カナが裏で嫌みな笑みを浮かべていたことを。

 

 

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みなさん!

お久しぶりです!

結構記事は書いているんですが公開してないんです。

日記とかじゃないのである程度ストックが、たまったら公開しようかと思っています。

 

新作です。

今回は異世界ものですが、コメディ一色に染めてやろうとおもいます。

 

『異世界ならここを曲がってすぐですよ。』の方もよろしくお願いします。

小説家になろうにもアップする予定なので宜しければどうぞ。

 

 

コメント待ってます!凄い励みになるので。

どうかお願いします。m(__)m

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

異世界ならここを曲がってすぐですよ。5話

「お、お腹いたい…」

俺は腹を押さえながら、自室のベッドに横たわる。

 (く、食い過ぎた…)

自室の隅に母親に貰ったお土産がある。

開けてみようかな…

腹を押さえながら木の箱を手繰り寄せ、ふたに手をかけた。

すると一瞬、グロテスクなドス黒い霧が見えた気がした。

「あ、あれ?なんか全然不快じゃないな。

さっきはあんなに気持ち悪かったのに…」

蓋を開けて出てきたのは、歪な形をした黒い刀だった。

(おぉ!かっけぇ!なんかこう、中二心がくすぐられる!!…っても俺、刀は愚か剣すら使えないんだけど。)

 

(そもそも、黒って俺のイメージとちょっと違うよな…俺はやっぱり爽やかでイケメンな感じがする水色があうんだよ。)

 

「いや、あわねぇー」

「のわっ!?誰だ貴様!」

「ミチルだコノヤロー」

「なんだ我が妹か。」

「我が?」

「あ、いや。なんでもない。」

「ってか、その刀かっけぇ!

ん?でも…なんで、お兄に刀なの?」

「お母さんに聞いといてくれよ。」

「自分で聞けや」

「使えねぇメスゴリラもいたもんだな…」

「ああ!?ゴリラだと?」

「ああ。そだよ。」

「なかなか、可愛いじゃん!

なかなか、誉めてくれんじゃん?」

「お、おう。だよねー

めっさ可愛いよ。」

「…とでも言うと思った?」

(ですよねー。流石にそこまで馬鹿じゃないか。)

「じゃあ、ちょっと聞いてくるわ。お母さんに。」

「いってら。」

階段を下りる途中、父さん達の笑い声が聞こえた。

(普段あえなかったりすると普通は少しぎこちなくなったりするもんだが、仲が良いこと…)

 

◇   ◇   ◇

「お母さん。お土産ありがとう。

開けてみたよ。…でもなんで刀なの?

俺使えないんだけど」

「開けられたの?よかった~」

「開けられないってこたぁないでしょう。」

「そ、それもそうね。はは…」

(何か隠してる。それは分かる。そして、凄く気になる。…のだが、きっと事情があって隠してるのだあまり詮索はしないほうがいいだろう。)

「とりあえず。その刀は常に持ち歩いておいて。絶対に役に立つから。」

「持ち歩くっても、流石に邪魔だな…」

「魔法とかでホイホイっとできないのか?

父さん、魔法については全く分からんが…」

「まあ、異空間ポケット的なのもあるけどその分、入れた物の重さが1.5倍になるからおもいんだよ。」

「いいの。気にせず、異空間ポケット的なのにいれなさい。必ず役に立つことは私が保証するわ。それに、腰にぶら下げているよりはいくらかマシでしょ?」

「ああ、わかった。入れておくよ。」 

時計をみると、もう9時をまわっていた。

「なんだか今日は疲れて眠いから風呂入ってさっさと寝るよ。」

 

◇   ◇   ◇

 

「おっはよ!春一~!」

「ああ、おはよう。」

「昨日はおばさんが帰ってきたらしいね。

どうだった?」

こいつの言うおばさんとは、俺の母のこと。

こいつとはなかなか、長い付き合いなのである程度俺の家庭内事情を把握している。

「しかし、おばさんも大変だよね…

海外で魔法学のサポート科だっけ?

最近はどこの国もピリピリしてるからね。」

「まあ、そうだな。

聞いた話によると、やっぱり相当忙しいみたいだ。」

「だよね~。でも、カッコイイな。

サポート科か…」

魔法学はまず、いろんな分野がある。

その中の一つがサポート科。

支援系の魔法を研究しているところだ。

医療分野においても活躍するため、

今ある魔法のなかで最も直接的に人々の命を救うことが多い。

他にも、アタックやディフェンス等々…

魔法の活躍する分野は多岐にわたる。

「圭司はサポート科志望だっけか?」

「いや、違うよ。俺は、アタック科の近距離手数枠。そもそも、俺の魔法でサポートに関連するのがないからな。」

「そうだっけ?お前何使って戦うんだっけ?」

「まあ、今まであまり使ったとこあまり見せてないかもしれないけど…幼なじみよ?俺。」

「……何だっけ?」

「マジで忘れたのかよ。

…………メリケンサック。」

「プッ!!」

思わず吹き出しちゃったよ…

何だよメリケンサックって…ヤクザ?

こえぇよ。

「地味に気にしてんだよ。

メリケンサック…かっこいいけど何か危ないやつみたいで。

でも、使いやすいんだぞ?」

「ただ拳振り回すだけだもんな。」

「いや、ただ振り回すだけじゃないんですけど…」

「冗談よ。」

しばらく、電車に揺られながら昨日のあの剣について考えていた。

「ああ、眠い…」