素人に書かせるブログ小説

SSや小説を載せていきます。時々、完成したデジ絵ものっけていきたいです。コメントよろしくっ!

異世界ならここを曲がってすぐですよ。 七話

三時間。

 

…そう、三時間だ。

 

刀の魔法「瞬間移動」を使って青空を飛び回った時間。

元々、魔力が満タンだったわけではなかったらしい。

そして、三時間たった今。

一か八かで電信柱へと飛んだ。

 

「ひ、ひぃぃぃ!?」

 

魔力切れ。

 

怖い…高いよーう。

刀は電信柱に突き刺さった状態に飛んだため、電信柱は内部からのダメージに耐えられず、今にも倒れそう。

 

「ていうか、こんな使い方があったとは…

一度突き刺さった状態に飛んじゃえば対人戦の時有効だな…」

 

「にしても、どないしよ…これ。

誰かに見られたらなんか…ちょっと…。」

 

既に日は沈んでいる時間帯。

ゴールデンタイム。

しかし、「ご馳走でしたー!」

「ねぇねぇ、お母さん!デザートは?」

「もう!仕方ないわね!コンビニ行って買ってきなさい。」

「やったーい!」

みたいな?

あるでしょ?

飛び下りれば良いじゃん?

いや、無理無理。怖い。

なんて、夜中に一人ぶつぶつ言う俺に艶やかな黒髪を腰まで下ろした美少女が声をかけてきた。

 

「……………なにしてんの?お兄…。」

 

妹だった。

 

「……………あ、うん。ちょっと運動。」

 

「早く降りてきなよ。お父さんがご飯作って待ってるよ?」

「お前は何しにきたの?」

「アイス買いに来ただけだけど。」

「じゃあ、ちょっと人助けしてかない?」

「人助け?誰を助けんの?」

「俺だよ。降りられないんだよ。」

「……………ウインド」

そう言いながらミチルは人差し指を俺に向ける。

「うお!?」

俺の背中に力強い風が押し寄せる。

無事着地。

「助かった…ありがとうミチル…」

「で、何であんなとこいたの?登るにしてもちょっときついでしょ?」

「いやいや、のぼり棒が恋しくなってさ。」

「ふ~ん。まあいいけど…」

ミチルは目を細め俺を睨む。

いかにも、怪しんでますよ~という顔だ。

「アイス。」

「へ?」

「アイス奢れっていってんの!助けてやったんだから。」

「ああ、そういうことね。分かったよ。」

   

 

 

 

コイツ…躊躇なく300円くらいする高いアイス買わせやがった。

 

ん?まてよ?よくよく考えてみれば、自分でまた魔力込めれば良かったんじゃ…

何か300円損した気がする。

 

◇   ◇   ◇

 

研修当日。

 

 

「おはよう春一!よく眠れた?」

「おはよう圭司。ちょー眠い」

「マジ?やばくない?多分だけど、この研修は実技が多いんじゃないかと思うよ?

せっかく田舎の方にいくんだし。」

「だろうな。

恐らく実技メインだろ。

二学期の評価にも結構響くでしょ。」

「じゃあ、なおさらヤバいじゃん。」

「ん?なんで?」

「いや、だからさっき寝不足って…」

「それなら、さほど問題はない。

ほら、俺って自分でいうのもアレだけど中学の頃から実技良かったじゃん。」

「ああ~確かに。

対人戦じゃ結構活躍できるかもね。」

 

さらに対人戦において手の内を知られていないというのは大きなアドバンテージだ。

何せ一学期は筆記しかなかったからな。

 

「ほら、早くしてよ春一!

バスが行っちゃったらどうすんだ。」

「はいはい。遅刻なんてするわけねぇだろ?」

「いや、マジで時間ヤバいから…ホント。」

「え?マジ?」

時計を見ると、7:50を指していた。

「やべぇ、あと10分じゃん。」

「急げ」

俺達は自分の足にブーストをかけ、地平線の彼方まで駆け抜けた。

 

「地平線の彼方って…」

ミチルさんは俺の語彙力に不満があるようです。

…いっとけど、お前より俺は筆記の成績いいからね?

 

 

ちなみにブーストとは、基礎魔法の一つ。今時は魔法学を勉強してるものなら出来て当たり前のレベルだ。

数学に例えると、足し算引き算みたいなもの。

ブーストをかけると、物の性質が向上する。

足にかけると、脚力が増加したり。

ピストルにかけると威力や射程、発射速度が向上するなどといった効果がある。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「間に合った…。」

もう、あと二分後には出発だ。

「春一、早く乗ろうぜ。」

うっす。

 

 

「えっと、俺の席は…。」

「ここだよ!梅花君。」

「ああ、どうも。え…と。ごめん、名前は?」

「僕?僕は蜂谷。知り合いは皆、僕のことを『ハッチー』て呼んでる。梅花君も好きに呼んで構わないよ?」

 

おお、なんて好印象の男子。

一見、気弱そうな感じではあるがそこがまた話しかけ安いな。

友達も多そうだ。

「ああ、ありがとう蜂谷。

俺は梅花だが、もう一人いるし紛らわしいから春一でいいよ。」

「ああ、そうだね。梅花さんと被っちゃうや。はは…」

はは…って、なんて柔らかい自然な笑顔。

これはさぞ、おモテになるんじゃないだろうか…?

「まあ、一学期が終わってもう二学期とはいえ皆ほとんど初対面みたいなもんだしな。」

 

「でも、春一は筆記の点数がすごく良かったから結構皆知ってるんじゃないかな。名前くらいなら。」

「そんなもんか。」

 

しかし、このバス…えらい防御力のありそうな感じだな。なんか、襲撃でも備えているのだろうか…。

「そりゃもちろん。

最近、海外からの襲撃も増えてるしね。」

「あー、確かにそうだな…って、悪い…昔から考えごとすると口にでちゃったりする癖があって。」

「あはは、まあ癖ってそんなに簡単には治らないしね。僕も昔は_________癖があってねー」

「へー、なるほど。」

 

俺と蜂谷はバスでの移動時間を無駄話で潰していた。

 

「でっかいね~。春一くん!」

「そうだな…。流石にここまででかいとどん引きだな…」

あっという間に寮についていた。

東京ドーム3…いや、4…やっぱり3かな…よし!3個分といったところか。てかもう寮って広さじゃないだろ…。

なんたってうちの学年は6クラス。

1クラス50くらいなのでだいたい300人。

300人にこの広さはいらない。

明らかに運動させる気満々だ。

あ、グランウンド広っ!!

 

「そういえば、結局来なかったね。

松前城くん。」

「ああ、そういえばそうだな。」

松前城とは例の調子こき太郎のことである。

結局、腹痛(建前)で休んだとか。

松前城くんって筆記の結果はものすごかったって聞いたけど。」

「らしいな。おそらく俺よりいいんじゃないか?」

「そりゃすごい。」

「へへ…」

「?」

なんか首傾げられた…

遠回しに誉めてんのかと思ったじゃんか…。

「ところで、蜂谷の部屋番号は?」

「春一くんと一緒だよ。」

「え?そなの?」

「そうだよ!今回は僕達の二人部屋だから気兼ねしなくてすみそうだね!」

「良かった~。

知らない人と二人きりの部屋だったらどうしようかと…」

「はは…」

 

しかし、それにしても景色が綺麗だ。

心なしか空気もおいしい。

ここからでも海が見える。

あとで蜂谷と遊びに…。

 

「集合だ!集まれBクラス!」

俺のクラスの担任が集合をかけていた。

先生は全員集まったのをざっと確認すると、

「では、これからは一時間に渡り自由行動とする。この寮については予め説明したこと以外は何も口を出すなと言われている。

この一時間をどう過ごすかはお前たち次第だ!では、解散!」

おお、なんと放任主義…。

周りを見渡すと「購買行こうぜ~」とか、「食堂いこうぜ~」とか「風呂風呂~」とか…。

結構やりたい放題だった。

この寮には娯楽施設も完備しているらしく、大分楽しめそうだったな…。

 

「けど、俺にはまずやらなきゃいけないことあるしな…。」

そう言って俺は颯爽とロビーに向かっていった。

 

「ねぇ!春一くん!カラオケいこうよ!

………てあれ?春一くんどこいったんだろ。」